ファーストキスの衝撃

 

俺が初めてキスをしたのは50歳を過ぎてから。

 

それまで、

「キスってどんな感触で、
 どんな味がするのかな?」

と、中学生男子のようなことをずっと思っていた。

 

しかし、50歳を過ぎたある日、その長年の疑問が解ける日がやってきた。

ついにファーストキスを体験したのだ!

 

しかし、その体験は、長年想像していたのとは全く異なる、衝撃の体験だった。

どう衝撃だったのか、

以下で語るとしよう。

 

まずは、そっと唇に触れる程度のキスから始めた。

その感触は、長年想像していた感触とほぼ変わりない感触だった。

でも、味は、、、しない。

まぁ当たり前か、唇に触れる程度では味なんてしないだろう。

 

次は唇をちょっと開き気味にして、相手の唇に押し当てて、チュッ!と音をたてるように吸ってみた。

柔らかい、気持ちのいい感触。

でも、まだ味はしない。

 

「やっぱり舌を入れないと、
 味なんてしないんだろうな。」

そう思い、恐る恐る舌を相手の口の中に入れて、舌を絡ませてみた。

 

まず驚いたのは、予想と異なる「意外な感触」だった。

 

他人の舌って、もっと異物感というか、もっと存在感のある感触を想像していたのだが、なんか自然というか、ヌメヌメしていて確かに相手の舌に触れている感触はあるんだけど、思っていたほど強いインパクトが無かったのだ。

それはなぜか。

恐らく、体温(舌の温度)がほぼ同じなので、舌に触れても温かいとも冷たいとも感じず、それが異物感の少なさにつながっているのではないか、と。

 

しかし、俺が最も意外だったのは、感触ではない。

キスの味

だ。

これが驚くほどに、全く何の味もしなかったのだ!

 

驚いたと同時に、とても残念だった。

なぜなら、長年に渡ってキスの味に思いを巡らせてきたのに、何の味もしないのでは面白くもなんともないというか、拍子抜けするというか。。。

 

「いや、そんなはずはない!
 何かちょっとでも味はするはずだ!」

そう思った俺は、ちょっと変態チックではあるが、相手の女の子に、

「唾いっぱい飲ませて!」

とお願いし、俺は口を開けて待った。

だが、、、

拒否られた。(笑)

恥ずかしいんだそうだ。

 

そこでさらに食い下がって、

「じゃあ、舌の上に唾のせて見せて」

とお願いしたら、唾をたっぷりのせた舌を見せてくれた。

俺はその舌に吸いついて、

唾をすすり取って飲んだ。(笑)

 

しかし!

 

ウソだろ!?

 

それでも全く味しないんですけど!(笑)

 

そう、全くの無味無臭。

これが長年夢に見た、キスの味なのか。。。

正直ガッカリしたのだが、と同時にキスに対してますます強い興味を持つようになった。

 

「他の女性とキスしても、
 無味無臭なんだろうか?」

 

今まで女性に対して消極的に生きてきた俺だが、この日を境に積極的になった。

その甲斐あって、他の女性とキスする機会は、意外と早く訪れた。

 

「セカンドキスの衝撃」につづく

 

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